Concept of EXPLORER'S PROJECT

リアリティへの挑戦

『能動性』『機動性』を意識したモデルを展開するActivateシリーズ。

今期リリースするExplorer'sプロジェクトは、ウルトラライトをキーワードに旅をするバックパッカー 本間義人氏と共同開発を試みた。より専門性が必要となる『旅』の中で、ただ機能を盛り込むのではなく、 WONDER BAGGAGEとしての解釈を加えた上で日常性との両立を図った。軽さや強度に重きを置きながら、 日常でも使いやすいよう設計した。

   
 

本間氏によるプロジェクトの解説

 

多くのバックパッカー(バックパックひとつで旅をするスタイルの旅行者)は、主に登山用のバックパックをメインバッグとして利用しています。多くの荷物を入れられること、耐久性に優れていること、背負いやすさが考慮されていることなど、登山バッグに求められる条件は、旅に求められるそれと類似している点が多いためです。

しかし、あくまで登山を目的に企画された製品ゆえに、旅にとって必要な要素が欠如していたり、逆にオーバースペックになっている分部も見受けられると私は感じていました。そして何より、バックパッカーにとって、登山用バッグ以外の選択肢がほとんどない今の現状は、旅のスタイルの多様化に相反しているのではないかと感じていました。

そこで、今回は登山用バッグと並び、バックパッカーのメインバッグとしての選択肢になるような製品の開発をめざしました。

EXPLORER'S Backpack

 

このExplorer's Backpackは、7kgから12kg程度の軽量な荷物のでの旅行を好むバックパッカーに向けて 開発しています。シンプルでありながら汎用性の高い機能性が特徴です。
逆に13kgを超える荷物を常に持ち運ぶにはあまり適していません。容量的に無理が発生すること、 またフレームレス構造ゆえに長時間の移動の際どうしても上半身に負担がかかってしまうためです。 以下にこのアイテムの特徴をリストアップしました:

ここからは上記の特徴の中でもとくに開発時こだわった箇所を紹介します。

隠しポケットの場所と構成

このポケットは、ショルダーパッドの付け根付近、背中に接する側に設置されています。わざわざメインポケットを開閉することなく、いつでも簡単にアクセスすることが可能です。前述したように、ポケットの入り口はかなり見つけにくい構成になっているため、背面パッドとメインポケットの隙間にジップロックに入れた貴重品などを隠しておくことが可能です。

背面パッドに関して、購入時は一般的なカバンに使用される緩衝材が入っています。スリーピングパッドとして ご利用されたい場合は、別途ご購入いただいた上で裁断しサイズ調節をしてみてください。 オンラインショッピングなどで安価なものが手に入りますので、ご自身のお好みでお選びください。

機内持ち込み可能なギリギリのサイズ感

バックパッカーの強い味方格安航空LCC。
ヨーロッパなどでは2000円程度(プロモーションなら数百円)で他の国に移動することが可能な時代になりました。しかし、多くのLCCは預け荷物に追加料金が発生し、その金額も2000~5000円程度と航空券の値段を超えることもままあります。これではせっかくの格安航空の利点を十分に活かしきれません。

そこでこのバックパックは、可能な限りあらゆる航空会社においても機内持ち込みができるサイズに収まる高さ、幅、マチを設定しています。

※私のリサーチでは、2018年現在アイスランドのWOWエアーが規定する【高さ:42㎝ 幅:32㎝ マチ:25㎝】または アイルランドのライアンエアーの規定【高さ:55㎝ 幅:40㎝ マチ:20㎝】が最も厳しい設定をしていましたが、 実際に2社ともに搭乗し、問題なく持ち込みが可能でした。

メイン収納がロール式開閉を採用しているため容量調節が可能になっており、最大45リットルまで拡張可能です。

背負い心地を考えたショルダーパッドとウェストベルト

Explorer's Backpackは、荷物の比重を腰から肩にかけて背負うことを前提に設定されています。 大型の登山バッグに散見されるような、腰でがっちりと固める使用方法ではなく、「背中で持ち、腰で補助する」といった感覚と言えばわかりやすいかもしれません。そのため、腰ベルトはいたってシンプルな設計ですが、12kg程度の重量であれば比重を十分に分散させることが可能です。

腰で固定しない分、背負った際に動きやすいこともこのバックパックの大きな特徴のひとつです。
またショルダーパッドには、カラビナやポーチをジョイントすることができるテープを設置しています。

EXPLORER'S 2way Sacoche

 
 

メインのバックパックが決まり、次に必要だと感じたのは街歩きの際に使用するサブバッグです。 まずサブバッグとして求められる要素を洗い出しました:

このように、サブという役割を担うため、求められる要素が非常に多いことが分かります。
そのため通常は、リュックタイプのもの、ショルダータイプのもの、エコバッグといった具合に サブバッグを複数持ち、それぞれに求める要素を分散します。しかし、旅の荷物は出来る限り 軽量化したいものです。また、用途ごとに中の荷物を入れ替えるのも億劫です。
そこで、このサコッシュは1つのバッグでこれらの要素をすべて満たす、汎用性の高いオールラウンダーのような役割を担ってくれる製品として開発に取り組みました。

 
リュック、サコッシュとして使える新しい構成と規格

リュックとしてもサコッシュとしても使える。これがこの製品の最大の特徴になります。バックルの着脱を行うだけで、背負いのリュックタイプから肩掛けのサコッシュタイプへ形状を変化させることができます。防水ファスナー、バックル、シートベルト材など、本格的なアウトドアメーカーにも使われるパーツを採用することで、長期旅行での使用にも耐えうる構成となっています。

防犯に有効なジップポケットの配置

日本と比べ、諸外国ではスリなどの犯罪率が高い国もあります。特に日本人はお金を持っているうえに 警戒心が薄いとみなされており、ターゲットにされることが多いと言われています。この製品はそういったリスクを 最小限にとどめるため、背負った際にファスナーが内側にくるように設計されています。

EXPLORER'S Pouch

 

旅で持つ運ぶモノの大部分を占めるのは衣類です。そんな衣類を手間なく出し入れができ、それでいて最小限のサイズにしてカバンに収めることが出来るポーチ。そんなものがあればいいなという思いから「Explorer’s pouch」は制作されました。

現状の問題点

まず最小サイズとは、バックパックに収めたときの状態を想像する必要があります。バックパックに収めたとき…。つまり、圧縮袋単体の状態ではなく、それらをメインバッグに入れて収納したときの状態が最小になっているかが重要なのです。

荷物は圧縮しすぎると、スタッキングする際に余計かさばります。圧縮袋を使い衣類を収納すると、当然空気の隙間は限りになく0に近づき、体積も小さくなります。しかし、空気の隙間がないということは、イコール柔軟性を失っていることになります。 固くなった圧縮袋をテトリスのように、隙間なく上手にはめ込んでいければ、荷物は最小サイズになるでしょう。しかし、それは極めて困難であり、旅先の宿で毎日行う作業ではありません。

荷物を効率よくカバンに収めるには、80%程度の圧縮率にするのが最適だという考え方があります。 実際に登山の世界では、スタッフサックなどを使い衣類を80~90%程度に圧縮して、メインバッグに収納することが当たり前になっています。多少の柔軟性を持たせたほうが、結果的に荷物を隙間なくメインバッグに収めることが可能となるからです。

解決法と商品仕様

以上の問題点を踏まえ、Explorer’s pouchはシンプルでありながら、全く新しい構成の製品として開発に取り組みました。このアイテムは二つのポケットを持ったシンプルなポーチです。ポケット部分にはジップやボタンなどは付けず、深めのフラップで蓋をした構成になっています。また、センターに細いテープを縫い付け、左部には伸縮性のあるテープが縫製されています。

荷物の収納は、ロール状に巻くたたみ方を推奨しています。アメリカ軍のレンジャー部隊などで採用されているたたみ方で、もっともコンパクトに衣類をたたむことが可能です。ロール状にした衣類を、横に積み重ねて収納する構成のため、全ての衣類へのアクセスが容易にでき、すべての衣類をいちいち取り出す必要がありません。

また、半透明の素材を採用することで、どこにどの衣類が収納されているかも瞬時に確認することができます。サイドから力をかけながら巻いていき、最後にゴム紐で固定することで、中の空気が最適な量抜けていき、荷物の圧縮が可能となっています。あとはそのままメインバッグにスタッキングすることが可能です。また、半分に折りたたみテープで固定することでも、ある程度の圧縮が可能です。